プレス金型の設計・製作は、プレス加工独特の問題点をクリアするために、製作した金型をプレス機にセットして鋼板をプレス加工。その結果をもとに金型を修正していくトライを何度も繰り返すことで、完成品に仕上げていきます。当然、トライの回数を減らすことができれば、コストも納期も減らすことができます。
そこで、活用しているのが、コンピュータ上でシミュレーションを行うCAE技術です。私は、入社後3年半、製造課の仕上げ工程で現場経験を積み、製造に関する基本的な知識を習得。その上で現在は、このシミュレーション業務を担当しています。
具体的な業務の流れとしては、お客様から届いた製品データをもとに、各種見込みを考慮したモデルデータを作成し、コンピュータ上で成形性のシミュレーションを実施。その解析結果をもとに、モデルデータを修正し、最終モデルを決めることになります。
このシミュレーションが完璧であれば、実際のトライで不具合が起きることはないのですが、ソフトの性能の限界もあって、シミュレーションですべての不具合をチェックできるわけでありません。そのため、トライに立ち会うのは、いつもドキドキものです。それでも、シミュレーションで問題にならなかった点も、これまでの経験からチェック。予想より歪みや割れ等が少なかったときは、自分の業務が役立った気がしてうれしいですね。
金型づくりは、非常に高い精度が問われることや、プレス加工におけるワレやシワ、デフォームといったさまざまな問題点もあって、CAEによるシミュレーションだけで完璧な金型を設計するのは容易なことではありません。でも、CAEの良い点は、業務経験をデータとして蓄積していくことができる点です。これら蓄積したデータをうまく活用すれば、トライでより不具合の出ない金型を設計することができるのです。
今後の目標としては、当社におけるCAE技術を高めていくことですね。そのためにも、CAD設計や機械加工など他部門の業務知識を身に付けるとともに、金型の全体的な特性も自分で考えられる力を身に付けていきたいと思っています。