現在所属している技術課のプレス技術係は、設計に基づいて製作した金型を使って実際にプレス加工を行い、そこでの問題点を解析。その結果に基づいて、対策を検討して金型の修正を指示していくトライアウトという重要な業務を担当しています。
私は前身の会社から数えて18年余り、生産技術係で設計の仕事を担当していましたが、設計後の工程にも興味がありプレス技術係に異動しました。生産技術時代の経験・スキルがあるとはいえ、トライアウトに関してはほとんど知識がない状態だったので、先輩技術者についてイチから業務ノウハウを習得。当社が持っている、設計を支えているトライアウトにおける技術力の高さを実感しました。

例えば、高難易度部品への対応力もそのひとつです。トライアウトでは、難しい部品の加工であればあるほど、パネルのシワやワレ、スプリングバックなどさまざまな不具合が生じます。それを修正するためには、なぜその不具合が起こるのか、原因を追究する必要があります。当社では、高精度の非接触3次元測定器を使って工程別に不良原因を解析することで、ハイテン材やアルミ材といった加工の難しい部品でもかなりの成果を上げています。もちろん、それが可能になるのは、技術者の豊富な経験があってこそ。これまでの経験から、ある程度の当たりを付けて原因究明に取り組むことができるので、早期の対応が可能なのです。

このプレス技術係の仕事を通して改めて感じたのは、前工程である設計の大切さです。トライアウト段階まで来て、不具合対策で設計段階まで戻っての手直しが必要となると、時間もコストも非常に無駄になってしまいます。設計のときも、それを意識していないわけではありませんでしたが、不具合対策を担当するようになって、その大変さを痛感することができました。そういった意味で、いろいろな部門で経験を積むことはとても大切です。これから入社される皆さんにも、いろいろな部門を経験してほしいですね。新しいことにチャレンジすれば、失敗することもあるでしょう。でも、その失敗を糧として成長できる環境が当社にはあるのです。